date:2008.11/8

昼食後、時間ギリギリまでモンテ・ヘルマン監督の『断絶』のDVDを観て外出。フォルツァ総曲輪で上映されるデヴィッド・クローネンバーグ監督の『イースタン・プロミス』を観るために富山へ。やっぱり駐車場は混んでいて、30分まえに到着するはずが、上映時間ギリギリになってしまう。そして『イースタン・プロミス』。面白いとか以前に、これだけ不気味な作品はめずらしい。物語がどこへ向かっているのか、全然見当がつかない。なのに、ピンと1本の糸が張り詰めているような緊張感が素晴らしい。ラストもひじょうに贅沢な終わり方。途中、一度だけフィルムが止まる、というハプニングがあったけれど、充実した時間を過ごす。パンフレットを購入するとき、「ここに飾ってあるポスターって、どうするんですか?」とスタッフの人に尋ねると、「もし欲しかったら、取っておいてあげますよ」と言ってくださったので、『メイド・イン・ジャマイカ』のポスターを取り置きしてもらうことに。車に乗り込み、次にダッシュで向かったのはファヴォーレ東宝。そこで黒沢清監督の『トウキョウソナタ』を観る。小泉今日子と家族の不協和音というと豊田利晃監督の『空中庭園』が思い出されるけど、言うまでもなく、まったく異なる作品。かといって、単純に重くシリアスな方向へ向かう、ということもなく。そう、怪奇映画のイメージが強い黒沢清監督が、じつはユーモアの人であるということを、まざまざと思い知らされたのだった。いろんなイメージが散りばめられた、それゆえに次に何が映し出されるのか、まったく予想できない傑作。ぼくは、ショッピング・モールのトイレをあんなダンジョンみたいに撮る監督を知らないし、子供たちをハードボイルド・アクションさながらの演出で撮る監督を知らない。家族がそれぞれに疾走するシーンなんて、本当に胸が高鳴った。そしてラストのピアノの演奏、その後ろで揺らぐカーテンを見て、ひとり泣いた。それにしても、1日1回の上映なのに、お客さんの少なさには驚いた。今、富山県に住んでいる映画好きで、この作品を外すといういう選択肢ってどうなの?と少し大きな口も叩きたくなるというもの。帰宅し、テレヴィをつけると矢口史靖監督の『スウィングガールズ』をやっていたので、1時間ほど観る。そして外出。高岡TOHOプレックスでD.J.カルーソー監督の『イーグル・アイ』を観る。背景がフラットな壁ばかりなせいか、あまり印象に残らない。そんななか、イラン人のささやかな爆死には少しだけ来るものがあり。あとは空港での荷物の仕分けラインを滑っていくシーン。あれは前半の何が何だかわからないカー・アクションよりも全然魅力的だと思う。帰宅し、DVDでダニエル・ダコタ監督の『カジノ・エロイヤル』という『カジノ・ロワイヤル』のパロディ・ポルノ・ムーヴィーを観たのだけど、これに関しては黙して語らず。