date:2008.5/21

台風が過ぎ去ったあとはいつもキレイな晴れが訪れるからいい。お昼休みに書店へ行き『スパ!』のなかの「エーガ界に捧ぐ」だけを立ち読みし、ほかになんかいい雑誌はないかしらんと棚を隈なくみていると『コヨーテ』の表紙のガス・ヴァン・サントという名前が目に入り手にとってみるとオレゴンの風景にビビっとくる。もうひとつ、『スマートガールズ』というおしゃれなヌードマガジンの表紙が藤井リナだったのでそれも手に取ってみるもビニールのカヴァーに包まれていたので中身を見ることは叶わず。だから仕方なく財布のなかには二〇〇〇円程度しかなかったのだけど、まいっかと思い両方購入。問題は午後。なぜかはわからないが突然、気持ちがかなり沈んだ。というか、身体のダルさがそのまま気持ちのほうへも影響しはじめたといったほうが的確かもしれない。もっと感覚的にいうと身体がきゅうに窮屈に感じられてきたというか。そんなわけでぜんぜん仕事が捗らない。どころかまったく落ち着きがなくなった。部落の防犯パトロールの当番にあたっていたので十九時半に退社し家に帰ると、急遽今日の防パトはなくなったという電話があったと知らされたので、そうですかよかったとバレーボール見ながら晩ごはんを食べる。すっごく眠くて身体がダルかったけど、それでもDVDだけは観ておこうと思い『愛のメモリー』(ブライアン・デ・パルマ)を再生させた。これはひょっとするとローデンバッハの『死都ブリュージュ』の変容版ではないかと思うものの人物たちの設定は変わっていたのでどこへたどり着くのか想像できなかった。オープニングでウエイターが両腕を上げたときにこれみよがしに見える拳銃からしてこれから事件が始まろうとしていることを物語っているし、建物や風景を立体的に切り取りながらもそのうえを流れるように滑っていくキャメラからしてワクワクさせる。しかし何といってもこの映画のなかで印象的なのは、クリフ・ロバートソンの眼。対象が目の前にいるのにその向こう側を見ているような焦点の合わない、狂信的な眼差しが怖ろしい。亡くなった妻の生き写しともいえる女性が母と会話するシーンにおいては、まるでどこを見ているのかわからなかったほど。現実と夢と過去が崩壊したかのようなゆらゆらとした映像が合図となってからフィナーレへの怒涛の流れもまた秀逸でした。